副業中のケガは労災になる?|複数の仕事をしている人の補償を整理
副業中にケガをしたらどうなるのか、という不安はあまり語られません。しかし複数の仕事をしていると、補償の計算方法が本業だけの人とは変わります。2020年には制度が改正され、掛け持ちの人にとって不利だった部分が見直されました。この記事では、その仕組みを整理します。
1. 雇われて働く副業なら、労災の対象になる
労災保険は、雇われて働くすべての人が対象です。正社員・パート・アルバイトといった働き方や、勤務時間の長さは関係ありません。副業先でアルバイトをしている場合、その勤務中のケガは、その副業先の労災として扱われます。
保険料は会社が負担するもので、本人の給与から引かれることはありません。「短時間だから入っていないのでは」と心配する必要はなく、雇用されている時点で対象になります。
2. ⚠️ 業務委託・フリーランスの副業は原則対象外
一方で、業務委託契約で受けている副業は、雇用ではないため労災保険の対象になりません。ここが一番の分かれ目です。
クラウドソーシングの案件、ライティング、デザイン、配達の一部などは業務委託であることが多く、作業中にケガをしても労災は使えません。健康保険で治療を受けることになり、その間の収入も補償されません。
ただし、一部の業種には特別加入という制度があり、任意で労災保険に入れる場合があります。自分の仕事が対象かどうかは、労働基準監督署で確認できます。
- ✓雇用契約(アルバイト・パート)→ 労災の対象
- ✓業務委託・請負 → 原則として対象外
- ✓一部の業種は「特別加入」で任意加入できる場合がある
- ✓契約書のタイトルではなく、実際の働き方で判断される
3. 2020年の改正で「合算」されるようになった
以前は、副業先でケガをした場合、補償額は副業先の賃金だけをもとに計算されていました。週に数時間のアルバイト先でケガをして働けなくなっても、そのアルバイト分の賃金しか補償されず、本業の収入は考慮されなかったのです。
2020年9月から、複数の会社で働く人(複数事業労働者)については、それぞれの勤務先の賃金を合算して給付の基礎額を計算する仕組みに変わりました。掛け持ちで働く人にとって、実態に近い補償が受けられるようになった改正です。
また、1つの職場だけでは労災と認められないような負荷でも、複数の職場の負荷を合わせて評価する仕組みも導入されています。長時間労働やストレスによる脳・心臓疾患、精神障害などが対象として想定されています。
4. 副業先へ向かう移動中の事故はどうなるか
本業を終えて副業先へ直接向かう途中の事故は、通勤災害として扱われる場合があります。事業場間の移動は通勤に含まれるとされているためです。
この場合、原則として移動先(これから働きに行く職場)の労災として扱われます。ただし、途中で私用のために大きく寄り道をした場合は、その間は通勤とみなされないことがあります。
- ✓本業 → 副業先への直接の移動:通勤災害になりうる
- ✓自宅 → 副業先:通常の通勤と同じ扱い
- ✓途中で私用の買い物などに立ち寄った区間:対象外になることがある
- ✓判断に迷う場合は、労働基準監督署に事実関係を伝えて相談する
5. 申請の流れと、伝えること
労災の請求は本人が行います。会社が手続きしてくれることも多いですが、会社が申請を渋った場合でも、本人が労働基準監督署へ直接提出できます。
複数の勤務先がある場合は、請求書にすべての勤務先を記載します。ここを書かないと合算されず、本来より少ない額で計算されてしまいます。副業を知られたくないという理由で書かないと、自分の補償が減ることになります。
- ✓① 病院で「労災です」と伝える(健康保険証を使わない)
- ✓② 請求書に、働いているすべての勤務先を記入する
- ✓③ 勤務先に証明をもらう(拒まれた場合はその旨を監督署に伝える)
- ✓④ 労働基準監督署へ提出する
6. 会社に副業を伝えていない場合
「副業を申告していないので労災も使いにくい」という悩みは実際にあります。ただし、補償を受ける権利と、就業規則上の問題は別のものです。
労災を請求したことを理由に、会社が不利益な取り扱いをすることは認められていません。一方で、就業規則に違反していた事実そのものは残ります。どう進めるか迷う場合は、請求の前に労働基準監督署の相談窓口(無料)で状況を説明してみるのが確実です。
7. まとめ
副業を選ぶとき、報酬や時間は比べても、ケガをしたときのことまで考える人は多くありません。ですが「雇用か、業務委託か」で補償の有無が変わるのは、実際に働き方を選ぶうえで大きな違いです。
本記事は一般的な情報の整理であり、個別の認定を判断するものではありません。制度は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省および労働基準監督署の案内をご確認ください。
- ✓雇用されている副業なら労災の対象、業務委託は原則対象外
- ✓2020年から複数の勤務先の賃金を合算して計算される
- ✓本業から副業先への移動中も通勤災害になりうる
- ✓請求書にはすべての勤務先を書く(書かないと補償が減る)
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契約の危険度を無料でセルフチェックする※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の商品・サービスを評価・推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。