2026-08-06·8

公務員の副業はどこまでできる?|制限の根拠と、許可が要るもの・要らないもの

公務員の副業は「全面禁止」と説明されることが多いのですが、正確には少し違います。法律が定めているのは、許可なしに一定の活動をしてはいけない、ということです。この記事では、制限の根拠になっている条文と、許可が必要になる線、そして自分のケースを確かめる手順を整理します。制度は改正や自治体ごとの運用差があるため、最終判断は必ず勤務先の規程で確認してください。

1. 「禁止」ではなく「許可制」

公務員の副業を制限しているのは、国家公務員法と地方公務員法です。国家公務員は第103条・第104条、地方公務員は第38条が該当します。

どちらも共通しているのは、営利企業の役員になること、自分で営利企業を営むこと、報酬を得て事業や事務に従事することについて、あらかじめ許可を受ける必要がある、という構造です。つまり「一切できない」ではなく「勝手にやってはいけない」が条文の趣旨です。

  • 国家公務員:内閣総理大臣および所轄庁の長の承認・許可
  • 地方公務員:任命権者(自治体や教育委員会など)の許可
  • 許可の基準や手続きは、それぞれの規則・要綱で定められている

2. 制限されている理由は3つ

なぜ許可制なのかを知っておくと、判断に迷ったときの物差しになります。根拠になっているのは、次の3つの義務です。

  • 職務専念義務:勤務時間中は本来の職務に専念する(国家公務員法101条/地方公務員法35条)
  • 信用失墜行為の禁止:職の信用を傷つける行為をしない(同99条/33条)
  • 守秘義務:職務上知り得た秘密を漏らさない(同100条/34条)

3. 一般に「許可なしでも問題になりにくい」とされるもの

解説でよく挙げられるのは次のような活動です。ただしこれは絶対的な線ではなく、規模や態様によっては許可が必要になります。

特に注意したいのは、報酬が発生した時点で扱いが変わる場合があることです。無償のボランティアとして始めた活動に謝礼が付いた、というケースでも一度確認したほうが安全です。

  • 株式や投資信託などの資産運用(一般的な範囲のもの)
  • 小規模な不動産賃貸(後述の規模の線を超えないもの)
  • 自家消費が中心の小規模な農業
  • 報酬を受け取らない家業の手伝い

4. 不動産や太陽光には「規模の線」がある

国家公務員の場合、人事院規則で自営に当たるかどうかの目安が示されています。この基準を超えると「自ら営利企業を営む」に該当し、承認が必要になります。よく挙げられる目安は次のとおりです。

地方公務員の場合も、各自治体がこれに準じた基準を設けていることが多いのですが、内容は自治体ごとに異なります。相続で引き継いだ物件など、やむを得ない事情があるケースは承認されることもあります。数字を暗記するより、「規模で線が引かれている」という考え方を押さえておくのが実用的です。

  • 独立家屋の賃貸:おおむね5棟以上
  • アパート等の部屋の賃貸:おおむね10室以上
  • 賃貸料収入:年額500万円以上
  • 駐車場:おおむね10台以上、または機械設備のあるもの
  • 太陽光発電:出力が一定規模以上のもの

5. 執筆・講演・地域活動の扱い

原稿を書く、講演する、スポーツを指導するといった活動は、内容と報酬の有無によって判断が分かれます。単発で謝礼程度なら問題にならないこともあれば、継続的で報酬があるものは許可の対象になることもあります。

近年は、地域貢献活動については積極的に認めようという流れもあります。国では2019年に非営利団体での活動に関する兼業許可の考え方が示され、自治体でも地域貢献活動の副業許可基準を公表するところが出てきました。禁止の一点張りではなくなってきている、というのが実態に近い見方です。

また教員の場合は、教育公務員特例法に本務に支障がない範囲で教育に関する職に従事できる旨の定めがあり、一般行政職とは扱いが異なる部分があります。

6. 「バレなければいい」が特に通用しない立場

会社員の副業は、就業規則違反であっても最終的には社内の問題として処理されることが多いのに対し、公務員の場合は法律に基づく懲戒処分の対象になり得ます。処分が公表されたり、報道されたりすることもあります。

収入の存在は住民税の計算を通じて勤務先に伝わる仕組みがあり、隠し通す前提の副業は成り立ちません。始める前に許可を取る、というのが唯一の安全な進め方です。

7. 確認する順番

自分のケースが許可の対象になるかは、ネットの記事では確定できません。次の順番で確認するのが確実です。

  • ① 勤務先の規程・要綱を読む(庁内のポータルや人事課の資料にあることが多い)
  • ② 人事担当に、活動内容・報酬の有無・想定時間を具体的に伝えて相談する
  • ③ 許可が必要なら、始める前に申請する(後追いの申請は心証が悪い)
  • ④ 許可された内容と実際の活動がずれてきたら、その都度報告する

8. まとめ

公務員の副業は、全面禁止ではなく許可制です。判断の軸は「職務に支障がないか」「職の信用を損なわないか」「秘密が漏れないか」の3つで、規模や報酬の有無で線が引かれています。

本記事は一般的な情報の整理であり、個別の可否を判断するものではありません。法令や運用は改正されることがあるため、最新の内容は人事院や勤務先の自治体・所属庁の案内をご確認ください。

許可の要らない範囲で何ができるかを考える前に、自分がどんな働き方に向いているかを知っておくと選択肢を絞りやすくなります。15問のセルフ診断で、無料・登録不要で確認できます。

副業の向き不向きを無料で診断する

📱 スマホアプリでも使えます

副業バディAIは Android アプリ版があります。診断・副業日記・詐欺アラートを、思い出したときにすぐ開けます。無料で始められます。

Google Play で入手

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の商品・サービスを評価・推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。