2026-08-23·約9分

副業と住民税|会社に何がいつ届くのか、普通徴収にできる副業とできない副業

副業が勤務先に伝わる話は、たいてい住民税から始まります。ただ「バレる・バレない」で語られることが多く、実際に何がいつ届くのかは意外と知られていません。この記事では、通知の中身と日付、そして普通徴収を選べる副業と選べない副業の線を整理します。副業が認められるかどうかは勤務先の就業規則によります。本記事は規則違反や申告逃れを勧めるものではありません。

1. 会社に届くのは「税額の通知」です

毎年5月31日までに、お住まいの市区町村から勤務先へ「特別徴収税額決定通知書」が送られます。勤務先はこれを受け取り、6月に支払う給与から翌年5月の給与まで、12回に分けて住民税を天引きします。

つまり、住民税の話は1年じゅう動いているわけではなく、5月末に通知が届き、6月の給与で金額が変わる、という決まった日程で起きています。

この通知に書かれているのは、その人が納める住民税の額です。副業先の会社名や、副業でいくら稼いだかという明細が載るわけではありません。

2. それでも伝わるのは、金額が合わないからです

給与から天引きする住民税は、その勤務先が支払った給与をもとに計算した額とおおむね一致します。副業の所得が上乗せされると、この金額が本業の給与だけでは説明できない数字になります。

経理の担当者が見るのは副業の中身ではなく、この差です。だからこそ「金額が動いた理由を説明できるかどうか」が実際の分かれ目になります。

3. 普通徴収を選べるのは、副業が給与所得以外のときです

住民税の納め方には、給与から天引きされる特別徴収と、自分で納付書などで納める普通徴収があります。副業分だけを普通徴収にできるかどうかは、副業の所得の種類で決まります。

  • ✓副業が業務委託など(雑所得・事業所得)→ その分を普通徴収にできます
  • ✓副業もパートやアルバイト(給与所得)→ 原則できません。給与は特別徴収が義務づけられているためです
  • ✓⚠️ 令和6年分の確定申告から、給与所得だけの人は「自分で納付」を選ぶ欄そのものが使えなくなりました

4. どこに書くのか

確定申告をする場合は、確定申告書の第二表にある「住民税に関する事項」の中の、「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法」という欄で「自分で納付」を選びます。ここに丸を付けるだけです。

確定申告が不要な場合でも、住民税の申告はお住まいの市区町村に対して行います。その申告書にも同じ選択欄があります。

なお、自治体によっては普通徴収を認める条件が案内されていることがあります。心配な場合は、お住まいの市区町村の市民税担当に電話で確認するのが確実です。制度の話なので、質問しても副業の内容を勤務先に伝えられることはありません。

5. 「20万円まで申告しなくていい」は住民税には当てはまりません

副業の所得が20万円以下なら確定申告が不要になるという扱いは、所得税の話です。住民税には、この20万円の特例がありません。

そして所得税の確定申告をしないと、市区町村は副業の所得を把握できません。そのため、確定申告をしない場合は、別途お住まいの市区町村へ住民税の申告が必要になります。

ここを知らずに何もしないでいると、あとから申告漏れとして連絡が来ることがあります。金額の大小にかかわらず、住民税は申告する、と覚えておくのが安全です。

6. 住民税が動く理由は、副業だけではありません

住民税の額は、副業以外の事情でも普通に動きます。ふるさと納税をした、医療費控除を受けた、iDeCoを始めた、扶養の人数が変わった。どれも金額を変える要因です。

「金額が変わった=副業をしている」と一対一で結びつくわけではない、ということです。ただし、これを隠すための理由として使うのではなく、慌てないための知識として持っておいてください。

7. 1年の流れで見ると分かりやすくなります

副業を始めた年から、翌年にかけての流れは次のとおりです。副業を始めた月ではなく、翌年の6月に金額が動くという時間差が、いちばん誤解されやすい点です。

  • ✓1月〜3月 前年分の確定申告(第二表で徴収方法を選ぶ)
  • ✓確定申告をしない場合は、同じ時期に市区町村へ住民税の申告
  • ✓5月31日まで 勤務先へ特別徴収税額決定通知書が届く
  • ✓6月の給与から 新しい税額で天引きが始まる(翌年5月まで12回)

8. 住民税とは別に、社会保険という経路もあります

副業先でも社会保険に加入する働き方をすると、2か所の報酬を合算して保険料を決める手続きが発生し、その決定内容は両方の勤務先に通知されます。これは住民税とはまったく別の経路です。

この手続きが起きるのは、副業先1社で週20時間以上働くなど、加入の条件を満たした場合です。副業が業務委託であれば、そもそもこの手続きは発生しません。詳しくは「副業で社会保険はどうなる?」の記事にまとめています。

9. 最初に読むのは、税金の本ではなく就業規則です

ここまで手続きの話を続けてきましたが、順番としては就業規則の副業に関する条項を先に読むことをおすすめします。

全面禁止なのか、許可制なのか、届出だけでよいのか。会社によって書かれ方はまったく違います。届出制であれば、手続きを踏むだけで堂々と続けられますし、そのほうが住民税の心配をし続けるよりも気持ちが楽です。

厚生労働省のモデル就業規則でも、労働者は勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる、という形が示されています。ただし実際にどうなっているかは、ご自身の会社の規則が答えです。

参考にした資料

国税庁「確定申告書等作成コーナー」住民税の徴収方法の選択(給与所得だけの場合の取り扱いを含む)

各市区町村が公表している個人住民税の特別徴収に関する案内(通知は5月31日まで、6月から翌年5月まで12回)

厚生労働省「モデル就業規則」副業・兼業の規定

普通徴収を認める条件は自治体によって案内が異なります。最終的にはお住まいの市区町村の市民税担当にご確認ください。

手続きの前に、その副業を続ける前提が整っているかを確かめておくと安心です。まずは自分に向いた副業のタイプを知ることから始めてみませんか。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の商品・サービスを評価・推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。